2012年度応用コース第7回報告

刺絡。

鍼治療の原型とも言われ、長い歴史を持つ治療法。血を出す治療法は、古来より多く存在しますが、刺絡鍼法との大きな違いは、その1、その理論背景に東洋医学があること。つまり、ツボに対しての鍼法であり、気血を動かす目的であり、道具は三稜鍼と呼ばれる鍼であること。そして、その2に出血量。刺絡での出血量は少量ですが、よく比較される瀉血では大量に放出させます。部位もツボではなく、おもに静脈へのアプローチです。

この、刺絡鍼法は積聚治療の体系の中でも大変重要位置を占めています。病の原因は精気の虚と考える積聚治療は、所謂患者さの訴える部位は指標とすることで、精気の虚の状態を把握することに利用し、直接アプローチはしません(注:否定しているわけではありません)。しかし、唯一、直接的にアプローチする場合存在します。それが外傷です。例えば、ボールが頭にぶつかった、頭が痛い、といった場合、頭が痛いのは精気が虚したからであり、精気が虚したのは、ボールがぶつかったからですので、ぶつかった場所=原因へアプローチする必要があります。もちろん、直接アプローチしなくても治療できることもありますが、部位や程度によっては直接アプローチするしかない場合が多いです。

病の原因を精気の虚と考えるから、虚する原因を追究する。病因を考えた時に、刺絡の重要性と効果に驚きます。しかし、それだけの効果を発揮する手段が、容易に習得できるわけありません。そこで、過去に4年に1度の割合で刺絡の講習会が行われてきました。そして、現在、講習会もクラスが分かれ、内容も充実した結果、積聚会講習会の最後(4年目)に、積聚治療における刺絡鍼法を習得を目的に、応用クラスが会長によって行われているのです。

刺絡ができるということは、治療において問診で、精気の虚の原因が過去の外傷であることを見つける能力(問診+切診)があること、そして、三稜鍼を扱う技術があることを意味します。これらは、すべて目に見える内容であり結果でもあります。ここまでを、私は『表積聚』と呼んでいます(笑)。ハンターハンターという漫画を知っていますか。ハンターと呼ばれる職業になるために修業をして、ライセンスを取得するのですが、実はライセンスを取得しただけでは、ハンターとして半人前で、取得後には『念(ねん)』と呼ばれる能力を身に付けることが必須となり、念を見に付けて初めて一流のハンターになれるのです。つまり、裏ハンター試験に合格したことになるのです。

何を言いたいかはわかりますね。そうです、刺絡まで出来て、やっと半人前。そこから、『裏積聚』(笑)である『意識』の習得を目指していくのです。先に意識を見に付けたがる人が大勢います。はっきり言って無理です。技術の習得には順番があります。基本技なくして応用技の習得はあり得ません。

ってはわけで本日は相手への初刺絡。三稜鍼でやるのはまだ早いので、今回は代用鍼で行いました。それでもみんなビビってました(笑)。練習しないとねー。

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