接触鍼の技術向上

『積聚治療』にはこうある。「治療過程のまず最初に、腹部の接触鍼を行なう。これは腹部に行なう軽い鍼刺激であるが、腹部にとどまらず、脈にも全身にも影響がある。鍼裁きに意識をおくことができれば、その効果は一層大きくなる。」

意識をおくことで治療効果が大きくなるが、その前に技術を上げても効果は大きくなる。

接触鍼の技術で最も基本となるのが皮膚を張ることにある。

『積聚治療』1.接触新の構えには、「母指のと示指の間には、皮膚上でおおむね1㎝ほどの間隔がある。押手は皮膚麺を緊張させる操作であるが、これが十分であれば患者に痛みをかんじさせない。‥‥」

この文章の重要な点がわかるだろうか。

皮膚を張るという動作説明に『母指』と『示指』という単語を単純に使わずに『押手』と表現している。

毫鍼を構える時も基本的にそうなのだが、患者の皮膚を張るという動作は鍼体を押手の母指と示指で触れた時から始るのではなく、触れる前からすでにその作業に取りかかる必要がある。そして『押手』の表現にあるように、この皮膚を張る動作は母指と示指以外の3本にも行なわせることが可能となる。

皮膚を張ることのメリットをどの程度感じることができるだろうか。

皮膚を張ることで鍼の接触による痛みが無くなるのは、むしろおまけであるような気がする。

患者の年齢、性別、体格、体質などにより腹も当然同じ人はいない。とくに体格のいい人の大きなお腹や、高齢者に見られる腹部の皺などは、接触鍼を行なう際に解決しなければならない問題である。

技術と言われるものが全て型から入るのは、型という基準を自分が持つことで、他を比較し評価できるからである。同じ人が2人といない治療で、術者の技量も毎回バラバラでは何を見て評価していいのかわからない。

接触鍼で皮膚を張るということは、年齢、性別、体格、体質が違う患者だが、その人の腹に比較評価のできる型を作るという作業になってくる。

どのような患者さんにもこの型を作れるようになってくると、接触した鍼尖から驚くほど様々な情報が入ってくる。その情報を理解していくと、腹診における身体の見方や触り方も工夫できるようになってくる。まさにこの治療法は接触鍼に始るのだ!

写真は新しく購入した一眼レフのレンズ。ただの自慢です。ヤフオクでお安く手に入れることができました。一眼レフの醍醐味はレンズを変えることで、全く同じものでも全く違う視点から見ることができてしまうことだ。レンズを変えて、写真を撮ってを繰り返していると、ふと治療行為との共通点で気づくことが多い。最近仲間の鍼灸師には写真(カメラ)を一つの趣味として薦めています。

正月帰省したらコロ助をいっぱい撮ってきます。

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