2012年度応用コース第9回報告

9回目の応用コースが終わってしまった。

臀部への刺絡。使用するのは三稜鍼。

刺絡を行う場合に確認しなければならないのは、その患者さんの精気の虚の強さ(程度)になります。積聚治療の中で用いる道具の中では最も刺激の強いのが三稜鍼です。ちなみに、三稜鍼→毫鍼→透熱灸→知熱灸→鍉鍼となります。鍼の効果とは、精気を強める、熱を起こさせると言えます。灸は、熱を起こす力のない状態(強い精気の虚)に対して、熱を与える目的となります。しかし、難しいのは鍼や灸の刺激を、患者さんが消化できるかという問題です。精気とは消化力とも表現できます。病院で長期入院中の患者さんに、早く体力を付けて欲しいからと言って、焼き肉なんかのボリュームのある食事を取らせることはないですよね。精気の虚が強いほど、消化力も落ちています。その人の消化力(精気)に見合った刺激を与えることが、積聚治療における最も重要な点と言えるでしょう。病の原因は精気の虚。虚を補うのが治療。では、どの位補うか。補う量が少ないと、効果も少なく、持ちも悪い。補う量が多すぎる(限度を超える)と、症状は改善さえません。それどころか、具合が悪いです。目の前にいる患者さんの指標から、精気の虚の強さを読みとること。その為には、精気の虚を生んでいる原因、病因を理解しないといけません。基本治療の手順だけをただ追っているようでは、いつまで経っても技量は上がりません。

積聚治療家の刺絡初心者に多いのが、首の外傷=精気の虚の原因=刺絡=原因解決と思っているところです。三稜鍼を使うということは、三稜鍼でどの程度精気の虚を補えるのか、どの程度目の前の患者さんの精気の虚が強いのか、そして三稜鍼の刺激を消化できるのか、それがわかっていないと治療にはなりません。青の絵の具に黄の絵の具を混ぜると緑色になることは誰でも知っています。でも、量を間違えると緑色は濃くも薄くもなるのです。青の量と緑の量、患者の精気の強さと自分の技量。知っていることと、出来ることは違います。技術だけ覚えても治療には使えません。もっとも、その技術を見に付けるだけでも大変な時間と労力が必要となりますが…。

さて、実技ではお互いの臀部(指標I 1~I 5)を確認して、基本治療後にも反応が見られる部位に初めての三稜鍼で刺絡となりました。で、緊張するやら、刺入が浅いやら、吸角まごつくやら、やら、やら、やら…(笑)。まっ、それでも今年の受講生は皆よくがんばっています。次回で最終回。ついにお互いに項部刺絡となります!で、上手くいくと、積聚治療の4年間に及ぶ講習会の全てが終了しますので、修了式&打ち上げになりまーす。

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