日本と中国、韓国でツボの位置が違うとことが朝〇新聞で取り上げられてだいぶ時間が経ちましたが、学校の教科書にも大きな影響があります。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家試験の出題科目にも当然なっている『経絡経穴概論』ですが、なんとこれまで盲学校と専門学校では違う教科書が使われてきました。内容が微妙に違うんですよ!でも同じ国家試験問題。それが4月から採用になる教科書で、初めての統一教科書になります。
日本での東洋医学が国の政策に追いやられ、東洋医学を実践するには西洋医学の医師免許が必要になってから、視覚障害者の方々の大きな支えにより鍼灸は生き残ってきました。また、漢方薬と別れて使用されるようになった爲、日本は中国にない独自の道を歩んできました。その歴史の中で、視覚障害者の爲の教育と、晴眼者の為の教育としれ別々に行われてきた教育が、やっと一つになろうとしています。画期的なことです。
教科書は『新版経絡経穴概論』となる予定です。新教科書ではいろいろな変点がありますが、変更点のポイントの一つにWHOで決定しているナンバーと英語の表記がはいります。例えば胃経は胃の英語stomacの頭文字を取りSTと省略され、足三里はその胃経の36番目になりますので、『ST36』の表記になります。ツボの名前には意味があり、漢字で学ぶ必要性は絶対だと思いますが、カルテの記入や、海外の鍼灸師の人達との会話では、この表記を覚えていると大変役に立ちます。太子堂鍼灸院でも積聚会でもツボ名の記載は英語です。テキストの後ろに付録で一覧表がついていますので、会員の方々は利用して下さい。コピーしてクリヤーケースに入れて治療所に置いておくと便利です。あっ、300以上もあるツボ全部覚える必要はないですよ。指標として使われる場所や、手足の要穴や補助治療に使用するツボだけで十分。
ちなみに『経絡経穴概論』の名称にも使用されている「経穴」ですが、正確には経絡上にあるツボを示す際に用いられる用語の為、かかとにある失眠穴は経穴とは呼びません。腧穴(ユケツ・シュケツ)や孔穴(コウケツ)と本来は呼ばれます。中国の教科書は『腧穴学』と『経絡学』の2冊に分かれています。よって日本の教科書の名称も変えようかとの話にもなったのですが、馴染みのある言葉が突然変わると混乱が予想されるのでやめました。
写真は太子堂入口の看板。歴史を感じるデザインでしょ。持つと意外と重い!