火災報知器

指標を火災報知器に例えることがあります。精気の虚、本体を火元とすれば、体に現れる指標は、さながら壁に取り付けられた報知器のようなものだ。師匠の言葉です。たとえ、そこがどんなにジンジン鳴っていても、火元ではない。ということになります。あくまでも治療の主眼は、火元であり、火がくすぶっている限りは、報知器は鳴り続けることになるのです。さて、ここからが、今日の話題。実は、私達の体で、鳴っているのが、火災報知器だけではない。と言うことなのです。「先生、ここ報知器なってます。」「それは、火災報知器じゃないよ。電話機だよ。」とか、「それは、目覚まし時計だよ。」とか、火元と関係ないのも、かなりたくさん鳴っているのです。要するに、もし、精気の虚という、火元を治療したいのであれば、どれが火元に繋がっている報知器なのか、鑑別して、それだけを指標に、治療しないとならないのです。ところが、それがどれなのか、わからないので、鳴っているの全部に鍼をしとくとか、全部にお灸するとか、そんな治療になっていくのです。火元に
繋がる指標は、ここと、ここの、この角度の、これだけですよ。そう、
講習会で教わっているでしょう。それだけでいいんです。だって、火元に繋がっているのは、それだけしかないのですから。鍼をすることばかりに、意識がいきがちですが、この報知器を探り出すことが出来れば、治療のほとんどは、終わったようなものなのです。

基礎集中講座より。