基礎集中・臨床研修講座

治療をしていると、ついつい、もっと良くしようとか、もっと凝りをとろうとか、欲が出るものです。

でも、余計にやったからといって、その分、余計に良くなるわけではないのです。人が、1回の食事で、食べることができる、ご飯の量には、限りがあります。

どんなに、からだに良くて、美味しい食事でも、1日で、消化できる量には、限界が、あるのです。無理をして、余計に食べたからといって、余計に元気が、出るわけではありません。

その人が、治る分も、その人の持つ、治癒力の分しか、治らないのです。鍼や灸をすることは、治る力を、足しているわけ、ではなくて、治る力を、その人の中から、引っ張り出しているに、過ぎないのです。

わかっては、いても、ついつい、余計に治療したくなるのが、人情、ってもの、かも知れません。

が、

それで、なお、余計にやった分は、やはり、余計でしか、ないのです。

結果的には、精気の消耗を、防ぐ、とはいかず、むしろ、精気を、自分の治療で、消耗させた、と厳しいようですが、言わざるを得ません。

ここは、シンプルに、行くしかないのです。あくまでも、指標に、忠実に、シンプルに。

さて、ついでに、もう一言。

シンプル、と同時に、老若男女を問わず、常に、相手の尊厳を重視して、愛情を、もって接しなければ、なりません。たとえ、互いに練習をしあう、同志の内でも、物言わぬ人形に、治療をしているわけでは、ありません。

どうすれば、相手が、自分の治療を、快く、受け入れてくれるのか、よく考えを、巡らせてみると、良いでしょう。

無理をして、食べさせなくとも、栄養を、届けるよい方法が、見えてくる、はずです。

来週までの、課題にしておきましょう。

基礎集中・臨床研修講座より