2024年6月9日に基礎1コース日曜クラスの第3回の講習会が行われました。
今回の講習では脈診がテーマになります。
前回の講義でも説明があったように積聚治療の手順では浅い気から深い気へ影響を与えることを基本としています。前回人体のなかで最も浅い皮膚の気に対しての腹部接触鍼を学びましたが、今回はさらに深い気に対して行う脈診と脈調整について学んでいきました。
講義ではまず、脈をみる部位、脈位について、指の当て方、脈診の内容について説明がありました。
脈をみる部位は左右の橈骨動脈拍動部で、六部定位脈診の配当を用います。
また、脈位については、皮膚上面から橈骨面の範囲で陽脈、中脈、陰脈と分け、陽脈では浅い層の気の状態を、陰脈では深い層の気の状態を示しており、中脈では生命力を判断する基となっていると説明がありました。
そして、陽脈と陰脈にはそれぞれ虚と実があり陽脈の虚、陽脈の実、陰脈の虚、陰脈の実の4種類があります。
陽脈では皮膚表面に指を当てただけで感じるものを陽脈の実とし、中脈を触れようとしても感じられない、あるいはさらに少し圧すると消えてしまう脈を陽脈の虚とすること、
陰脈では脈を沈めていき骨に至るまで圧しても消えないものを陰脈の実とし、すべての脈が触れなった位置から6本の指の力を同時に少しずつ抜いていったときに、脈が遅れて戻る部位があるかどうかを診て、遅れるものがあればそれを陰脈の虚とするものとし、それぞれの評価方法についても説明がありました。
そして、講義の後に実際にどのようにして脈診を行うかについてデモが行われました。
まずは患者の手の位置、術者の指の位置、指を当てる角度について説明があり、実際に脈を診る際には、まずは指を当てた時に最初に診るものが陽脈の実、次に脈を圧した時に脈が潰れなければ陰脈の実、さらに脈の戻りの遅さで陰脈の虚を確認するという方法を1つ1つ丁寧に説明がされました。
脈診で大切なことは毎回同じ場所、同じ角度で診れるようになるために自分の位置を決めることが重要だとアドバイスがありました。
デモの後に受講生同士がお互いに脈診をする実技を行い、脈診の指の置き方、力の入れ方、そして脈診の結果について講師の手塚先生からフィードバックを受けていました。
そして、ペアになった受講生だけの脈でなく、術者役の受講生が順番に回りながら患者役の受講生の脈を診て回りました。
私が学び始めた時に最初につまずいたものが脈診でした、クラスで練習をするときに自分の指のどこに脈が触れているか確認し、圧をかける際も先生のかけている圧と同じかどうか患者役の人に聞きながらやった記憶があります。
今脈診をしていても迷うときがあるくらい難しいと感じています。
休憩を挟み、後半では脈調整の講義と実技がありました。
脈調整では腹部接触鍼後の次に浅い部分を整えることによって生命力の回復を目的とすることと説明がありました。
脈調整の選穴は、確認された陰の虚脈の数によって太淵と大陵のどちらかを使うこと。
また、脈調整の際に使われる指標については孔最穴付近の触り方の説明があり脈調整の際の鍼の刺し方についても説明がありました。
デモでは基本治療の最初の段階である脈拍の測定、指標の確認、腹部接触鍼から脈診、脈調整の内容が通して行われました。
その後、実際に受講生同士でペアになり、お互いに脈拍の測定から脈調整まで通して実技を行いました。
今回の講習会はとても濃い内容だったと思います。
手塚先生からは、腹部接触鍼や脈調整を行うことで起こる指標の変化を感じるとること、なにより沢山の人を触れることが大切であると話がありました。
私も積聚治療だけでなく、一つの治療技術を学ぶにあたって大切なのは、たくさんの人に触れ、経験を積むことが重要であると感じています。皆さんも、ぜひ復習を兼ねて、たくさん練習してみてください。
また、委中刺入などの基本技術も忘れずに練習してください。
助手 川浦 渉太