実際の臨床時に、考えなければいけないことに、治療時間の問題があります。夜睡眠をとる時とは違い、動きを制限されたまま、長時間寝ていることは、かなりの苦痛を伴います。それが、例えどんなに優れた治療であったとしても、長時間のうつ伏せ姿勢からくる精気の消耗というマイナス要因に因って、治療効果が相殺されてしまうかも知れません。ある程度、治療全体を通してみることができるようになったら、時間の管理ということも視野に入れておくことが大切です。時間という観点から人の体を眺めて見ると、自分達が考えている以上に、人体は早く変化しているものです。変化しているタイミングを逃したために、むしろ、変化し終えた体を掴まえて、いつまでも変化しない、と、やっている人を多く見かけます。当の昔にその時は過ぎ去ってしまっていて、やり過ぎ、刺激過多、何てことにならないようにしなければなりません。そのためには、局所の指標ばかりに目をやらないで、広く全体の指標を意識して治療に当たることが肝心です。