積聚治療の最初の手順として位置づけられる浅い気へのアプローチだが、これが實に奥深い技術である。
浅い気とは深い気に対しての表現だが、何を浅いとするかは術者の技量による。会長の接触鍼の話で有名なのに五十肩の治療がある。学生中に師匠からも聞いたことがあり驚いたが、直接本人から聞いて再度驚いた記憶がある。話はこうである。
肩がまったく上がらない患者さん。本人日く、五十肩と。先生はいつもの通りの治療手順。まずはお腹に接触鍼。何度か往復、肩を挙げてみてください。手が挙がり患者驚く。とこんな感じです。ちなみにこの後も手順を踏み、一通りの手順をおこない治療終了。
西洋医学で言う五十肩かどうかはわかならないが、挙がらなかった手が挙がるようになったのは事実。発症から時間経過が短ければ例え上記の症状でも、病は浅いと考えるか。では、誰でもこのような症状に直面したときに、同じような結果を出すことができるか。いろいろなことを考えてほしい。
積聚治療による臨床経験に長けてくると、背部兪穴の使用と治療方式、会長の新しく発見した補助治療に目がいく。しかし、1穴の刺激から患者の精気は補われていくこの治療は、所謂標治法の役目を必要とする治療と違い、治療手順の一つ一つの技量を上げることが、治療効果を飛躍的に上げていく。ここにこの治療のおもしろさがある。と私は思っている。いや、おもしろくて仕方ない。
では、接触鍼の技量を上げるとはどういうことか。まずは、①鍼尖で十分に皮膚ろ圧迫すること。しかし、鍼尖の形状が卵形とは言え鍼は鍼。触れると痛い。よって、②押手で皮膚を十分に張る。この2点ができることが基礎Ⅰクラスの目標となる。
正直ランダムにやったり、スピードの強弱などは先の話の話だと思う。
押手側での腹部の状態把握と刺手側による接触鍼通過部位の状態変化の把握、またその部位事の強さと早さの強弱、そしてそれらを無意識の行なえるようになった時の術者の呼吸、そして後の意識の応用(投射)。接触部位から背部までの鍼体が伸びていくようなイメージ、同時に水面に小石を落としたときのような波紋のイメージ、そして腹部から患者全体への無限のイメージ。
一見同じような接触鍼でも、その差は歴然。
ここからは宣伝ですが(笑)、今年の一泊研修会のテーマは「接触鍼と脈調整」。基礎?と呼ばれる内容をやってほしいとは常々言っておったのですが、兄の一言で今年のテーマは決まりました。
見てみたくないですか?現在の会長の接触鍼。聞いてみたくないですか?現在の会長の接触鍼講義。
写真は去年の一泊研修会宴会(夕食?)会場。