修行とは
何故そんなことを、とか、問うては、いけないのです。
なぜなら、それが修行の、ルールだからです。
内田先生の本から、引用させていただきました。
いまでも伝統芸能の内弟子達は、師匠の身の回りの世話をさせられる。芸の稽古はほとんどせず、ひたすら稽古場を掃除し、師匠の荷物をもち、お茶や弁当を給仕する。そんな内弟子修行を数年続けると、稽古していないはずの当の芸が驚くほど上達する。
体系的に習っているはずの通いの弟子と、段違いの腕になる。
理由はある意味簡単で、生活を共にしているうちに、師匠と「呼吸が合ってくる」からである。
表情筋の使い方、発声法、着付け、 ついには食べ物の好みや、ものの考え方まで師匠に同期してくる。
そしてある日、驚くほどに豊かな芸の土壌が自分の中にすでに形成されていることに、弟子は気づくのである。
内田樹著 『修行論』 光文社新書
基礎集中講座より