はじめまして。今年の基礎Ⅱ日曜コースの聴講に入らせて頂いております伊賀秀文です。
毎回の講義をその場の雰囲気やその時感じた事を含めてレポートしたいと思っております。
5月8日(日)2016年度基礎Ⅱ日曜コースがスタートしました。
今回は「基礎Ⅰの復習と基礎Ⅱの概要」の座学と「治療(30分間で終える)」の実技でした。
●まずは、「基礎Ⅰの復習」からスタート。。
髙橋先生から積聚治療とはどんな鍼灸治療なのか。という問いがありました。ドキッとした人も多
いのではないでしょうか。
積聚治療とは、東洋的な発想に基づいた鍼灸治療法でしたね。『赤本』には、東洋的な発想に
基づいた治療とは、治療対象が特定の疾患(病名・病気)ではなく、ヒトが対象で、疾病ではなく、
疾病の状態が対象とありましたね。
東洋的な発想というのは、一般的には、気とか陰陽という言葉に代表される考え方です。積聚治
療では、易といわれる考え方で物事をとらえ、陰陽はいきなり陰や陽からスタートするのではなくて
、
太極から始まっているととらえ、この太極に着目することが東洋的な発想となる。具体的には、世の
中のもの全ては気でできており、それを太極とし、その気の状態を説明する言葉が陰陽である。人
体についても同様で、いわば気で成り立ち、気でできており、気そのものだと言える。そして、人の
寿命は精気が尽きたことと考える。つまり、目に見えないものが失われたということ。精気とは、寿
命・命と考えることができ、体力・生命が消耗して行くことを精気が弱くなっていくと考えます。この
精気の消耗には生理的と病的があり、生理的な精気の消耗とはいわゆる寿命、病的な精気の消
耗のことを一般的な東洋医学で使われる虚っていう言葉を用いて精気の虚と表現しますと髙橋先
生は例を交え説明をされていました。
ここで注意しなければならないのは、一般的に使われている東洋医学用語の精気と積聚治療で
使われている用語の精気で意味合いが違うことでしたね。つまり、精気の虚と言っても、一般的な
東洋医学で使われている腎の中に蓄えられている精気が虚しているという意味ではなく、すべて
のものを構成している精気の消耗という意味であり、体に起きた異常のことを言うんでしたね。
積聚治療は精気の消耗を回復させていく治療法であり、そのことを精気の虚を補うというんでし
たね。続本のサブタイトルにもなっています。この精気の虚を補うということを生存曲線と精気曲線
を例に説明がされました。
また、積聚治療の成り立ちに東洋鍼灸専門学校を卒業し、関東鍼灸専門学校の初代校長の小
林三剛先生が、易者さんだったことが大きく関わっており、小林詔司先生が、鍼灸の大本の原点と
いうのは、易に行き着くんだなと解り、関東鍼灸専門学校で教鞭を取ることで、積聚治療が誕生し
たという歴史を学びましたね。
そして、東洋医学講座の『10巻』はそのときに小林詔司先生が執筆されたもので、積聚治療のこ
とが書かれた最初の本でしたね。積聚治療を学んでいく際は、小林詔司先生が執筆された本は
全てしっておいて欲しいし、執筆された順に勉強をしていくと良いし、それぞれの本で同じ内容を
違う表現で書かれているので3冊とも読むと、理解が深まるというアドバイスを髙橋先生から頂きま
した。『10巻』(東洋医学講座10巻)→『赤本』(積聚治療-気を動かし冷えを取る)→『続本』(続・積
聚治療‐精気を補う)の順ですね。読む際は、「精気の虚」、「冷え」、「陰虚」と執筆された時代によ
って表現が異なるが、すべて同じ内容とのアドバイスも頂きました。
●つぎに、「基礎Ⅱの概要」の講義でした。。
補助治療とは積聚治療の構成要素の一つで、基本治療+補助治療で積聚治療でしたね。基本
治療だけで精気の虚が補いきれない場合にのみ、補助治療を行い、基本治療だけで十分に精気
の虚が補われた場合には、一切やる必要はありませんでしたね。こうすることで、患者さんがいつ
も以上に精気が虚しているんだなとか、虚してないんだなってことの区別がつくようになります。そ
して、自分の技量でやっても補助治療を使わないと治らないってことは、精気の虚がずいぶん大
きい人だなというのがわかりますし、補助治療をしなくても治っちゃった場合は、この人の症状は激
しいけれども、見た目と違って精気の虚が少なかったんだなという風にもいえます。そうすると、目
に見えない精気の虚の具合というのが見た目の症状に惑わされることなく、多いか少ないというの
が治療を通して把握できてきます。また、補助治療の補助は精気の虚を補う補助ですので、症状
に合わせて用いる表治法といわれるものではないので、術者の技量に応じて必要の有無が決まっ
てくると話されていました。
補助治療を加えるタイミングですが、まずは、腹臥位の状態で基本治療の二行線が終わった後
でした。そのあとに仰臥位になってもらい、腹部の再確認をして、まだ不十分であれば、仰臥位の
補助治療をやっていくという手順でしたね。
また、小林会長が、補助治療を使用しているというエピソードを紹介してました。
そして、基礎Ⅱの講習会が終了するまでに、基本治療の技量自体も上げて行って欲しい。その
ためには、正確な脈診、正確な腹診、正確な取穴、そういうのが大事になってきますと話されてい
ました。先生にこれらをチェックして頂けるのは、数限られたチャンスしかありませんので、この講習
会の機会にしっかりとチェックし、修正していくことが大切だと私は思います。
基礎Ⅱでは一般的な補助治療を行っていきます。64ページ~67ページまで知っているか否か
の問題ですので、その都度丸暗記していきましょう。
●後半の実技では、
30分で治療を終えることを目標に、お互いの治療を行いました。講義でも説明のあった基本治療
の技量を上げていくには、治療時間を決めて治療することが大切でしたね。そうすることで、自分
が補える精気の量と患者さんの精気の虚の量を比較する技量と補助治療が必要かどうかを即座
に判断する技量がついてくることで、基本治療の技量が上がってくると思います。
●講習が終わってみて、非常に内容の濃い一日だったかと思います。
では、次回は5月29日(日)です。
次回も元気にお会いしましょう。
基礎Ⅱ日曜クラス 聴講生 伊賀秀文