基礎集中・臨床研修講座より

ツボは、精密検査機器。
からだに現れてくる、様々な症状は、悪い場所を教えてくれているだけではなくて、もっとたくさんのことを、私たちに教えてくれます。昔からそうした、からだの反応が出る場所のことを、ツボ、と言ってきました。ツボは、反応の出る場所であり、また、治療をする場所でもあるのです。
さらに、ツボには、その反応性の良さを利用して、まるで精密な検査機器のような、働きもあるのです。その様にツボを使う場合は、そこを、指標、と呼んで、治療の前後、またその途中に、常に観察をして検査結果を得る、治療家の生命線のような存在なのです。
それは、一見すると、ただコリを触っているだけのように見えますが、実は、それだけでは、ありません。まず、その場所が、この人の治療に適当なのか、この刺激の強さで、あっているのか、この道具は、からだの要求しているものなのか、また、その治療時間は、どうかなど、
治療のための、すべての判断を、この指標の結果によって、決めているのです。確かに、患者さんには、問診など、お話をうかがってはいます。けれども、実をいうと、本人の自覚というのは、正確にからだの状況を、反映しているわけでは、ないのです。
これは、人が自分のこころとからだを守るための、大切な働きなのですが、痛みなどの苦痛を感じる情報が、そのままダイレクトに、脳に伝達されてしまうと、ショック状態になってしまうために、かなりの情報が、神経や脳内で、修飾されて、自覚しているようなのです。
強い痛みを訴える患者さんの中には、痛む場所が、どこだかよくわからない、という方が、かなり多くいます。そこで、役に立つのが、指標、なのです。この、からだに現れる指標は、自律神経がコントロールしているものなので、本人の自覚とは、関係なく出てくるのです。
例えて言えば、一昔前のテレビ番組などで、うそ発見器、なるものが、よく登場していましたが、指標は、そんなイメージに、近いかと思います。自律神経による発汗反応などをモニターして、うそを暴くわけですが、本人の自覚も、脳の脚色で、だいぶ現実とは、違うものになっています。
真実の原因に近づくことが、なかなか難しい場合、指標は、優れたナビゲーションになります。しかも、自律神経の反応ですから、瞬時に、結果が現れます。また、うそ発見器とは違い、より安定した反応が出てくる、筋層の反応、を使用しています。
たとえ、本人が、もう治った、と思っていても、指標を触診した結果が、思わしくない状態であれば、確実に、症状はぶり返してきますし、本人が、まだ症状が残っている、と感じていても、指標が、とても良い状況を、示していれば、回復は時間の問題です。
指標とは、そういうものです。さて、この時期の、興味深い指標の一つの例があるので、参考までに、記録しておこうと思います。目の症状というと、目の周囲ばかりを、見がちになりますが、目は、頭皮が、指標になります。
つまり、つまり頭皮(耳の出るヘルメットで覆われる頭頂部分のことです。)が、目の診断点でもあり、治療点でもあるのです。目の症状は、頭皮の刺激で、まったく変わってしまいます。参考までに。