基礎集中・臨床研修講座

集中力が増し、認識能力が向上した結果
すごく集中している、と思われるときでも、実は本来持ち合わせている集中力の、およそ5%しか使っていないそうです。この使える集中力の量を増やすために、座禅や滝に打たれたり、山野を駆け巡ったりしているのだと言えます。では集中力が増すと、何が良いのでしょう?一言で言えば、認識力の向上です
集中力が増すと、ものを認識して把握する能力が、格段にアップします。例えば、スポーツ選手が、集中力を増す訓練を継続することで、ある局面での、判断力が著しく増すため、相手の動きが、スローモーションで見えたり、投げられたボールが止まって見えたするといいます。
これは、集中力が増し、認識能力が向上した結果、その様な現象が起こったのだと思われます。さて、そういう現象は、特別な修行を積んだ僧や、訓練したスポーツマンにしか、起こらないのでしょうか?実は、そうではありません。ごく普通の人にも、ある条件が整えば、現象として起こることがあります。
例えば、交通事故や激しいアクシデントに、遭遇した瞬間、周りの動きが、スローモーションになったという経験をしたことが、あるのではないでしょうか。つまり、極限の状態に、人が追い込まれると、そこで起きる出来事に、まさに、命がけで極度に集中しようと、脳が働き出します。
すると、認識力も極限まで向上し、脳の処理速度が最大限発揮されるので、回りの現象は、ゆっくり動いているように感じるようになります。もう少し、身近なわかりやすい例をあげれば、高速道路から、一般道に移った時に感じる現象も、同じことが起こっていると、考えられます。
そうなのです、集中力を養う訓練というのは、認識力を向上させるためのもので、この世のことを、よりわかるようになるために、修行をしている、ということができるのです。極限までの訓練をしたアスリートたちが、深い洞察に富んだ発言をすることからも、彼らの認識力の高さをうかがうことができます。
また、治療をする人のそれは、診断能力の向上につながります。集中力が、高い人ほど、より正確に患者さんの状態を、見極めることができると言えるのです。逆に言えば、集中力の低下は、認識力の低下を意味します。そう言うと、うちの子は集中力がない、心配される方がいらっしゃいますが、
実際のところ、まったく心配の必要はなく、ゲームや遊び、お絵かきなど、自分の好きなもに、高い集中力をみせるのであれば、それは、修行に打ち込んで獲得した脳の働きと、なんら遜色ないものだと考えられます。ただ、ご両親のご都合にそぐわない集中力の訓練の仕方、ということだけです。
座禅修行の終わりがないように、またすべてのトップアスリートが、基本動作の練習をひたすら繰り返すように、どのようなジャンルであっても、常に集中する訓練を続けることが、最善の判断を導き出す、最高のツールになり得ると言うことができます。それが大きく飛躍する鍵であるのではないでしょうか。