2025年度 応用1コース日曜クラス 第2回

積聚治療の奥深さに触れる!~「生命力の低下の程度」を読み解く~

積聚会の講習会、応用1クラス第2回が開催されました。基礎コースで積聚治療の基本を習得された皆さんも、治療を続けていく中で「もっと深く知りたい」「なかなか改善しない患者さんを何とかしたい」と感じることはありませんか?今回の応用1クラスでは、そんな疑問や課題に答える、積聚治療の真髄に迫る内容が展開されました。

病いの原因
前回までの講義のでもありましたが、伝統的な鍼灸治療では「虚実」を重視し、それに対して「補瀉」を行います。この「虚実」は「陰陽」から導き出され、さらに「陰陽」は「太極」から生まれるという考えが基本です。
積聚治療では、この「太極」に治療の重きを置いています。そして、この太極にあたる部分を「精気(せいき)」と表現し、現在ではより分かりやすく「生命力」と言い換えています。
病気の原因は、患者さんの症状が「虚」であろうが「実」であろうが、突き詰めれば「生命力の低下」に行き着くという考えが、積聚治療の核となります。積聚治療は、この低下した生命力を回復させる一点に集中することで、患者さんの症状改善を目指しているのです。

なぜ「生命力の低下の程度」を把握することが重要なのか?
基本治療を中心に、多くの患者さんの症状改善を経験されてきた皆さんですが、中には「どうしても改善しにくい患者さん」や「生命力の回復がおぼつかない」と感じるケースも出てくるのではないでしょうか。そのような時に重要となるのが、「生命力がどの程度低下しているのか」を詳細に把握することです。これにより、どの程度の回復が必要なのかが見えてきます。
これまでの基礎コースでは、積聚治療の型通りに手順をこなすことで治療効果を上げてきました。しかし、治療が難しくなるにつれて、この「生命力の低下の程度」を読み解くことが非常に重要になってきます。

「生命力の低下の程度」を4つの「病症」で表現する
小林詔司先生は、生命力の低下の程度を「指標の位置」と「症状の冷え・熱」で表すことで、次の4つの病症に分類しました。

  • 陰の虚の病症(陰虚病症)
  • 陽の実の病症(陽実病症)
  • 陰の実の病症(陰実病症)
  • 陽の虚の病症(陽虚病症)

これらの病症は、現代医学的な症状だけでなく、指標の現れ方(身体のどの部位に冷えや熱の症状が出ているか)によっても分類できます。例えば、陰の虚の病症は「身体下部の症状(軽度の膝痛など)」、陽の実の病症は「皮膚や消化器系の熱症状(顔の赤み、胃潰瘍など)」といった形で捉えられます。

最も重要な指標「脈」
これらの4つの病症を判断する上で、最も重要視されるのが「脈診」です。患者さんの主訴や指標の現れ方ももちろん参考にはなりますが、脈診は病症を判断する上での「絶対的な決定権」を持つと言っても過言ではありません。
例えば、「陰の虚の病症」を示す脈(陰虚脈)や、「陽の実の病症」を示す脈(陽実脈)など、それぞれの病症に特徴的な脈状があります。応用クラスでは、これらの脈をより詳細に診ることで、治療の効果をさらに高めることが期待されます。

病症判断の原則
今回の講義では、病症判断の原則として以下の点が強調されました。
• あらゆる病症は生命力の低下から生じる: 病症の種類が違うのではなく、生命力の低下の程度が違うと考えます。
• 生命力の低下が大きくなると病症は重くなる傾向にある: 陰虚病症よりも陽実病症の方が重いと判断でき、指標の数も増える傾向にあります。
• 重い病症や指標の数の多さが、常に大きい生命力の低下を示すとは限らない: ここが積聚治療の奥深さであり、脈診の重要性が際立つ部分です。
• 何よりも「脈」が重要: 症状や指標の状態と合わせて脈診を行うことで、より正確な病症判断が可能となります。

今回の勉強会では、これらの知識を基に、実際の治療の中で患者さんの病症を判断する練習を行いました。ペアになって問診を行い、治療しながら「この患者さんはどの病症だろう?」と考え、治療後にその病症を確認することで、実践的な学びを深めました。

今回の講義で学んだ「生命力の低下の程度」を読み解く病症判断は、積聚治療をさらに深めるための重要な一歩となります。次回は、この病症判断に基づき、それぞれの病症に合わせた具体的なツボの選択について学んでいきます。

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