基礎集中・臨床研修講座

さて、井穴の痛い方と、感覚が無い方、どちらの方が問題なのでしょう?では、もう少し言い方を変えて、どちらの方が冷えが強いと考えられるでしょう?こんなときは、他の症状を参考にして考えるとよくわかります。ほぼ全ての症状は、陰虚の状態から始まり、内部に熱のこもる陰実、その熱が外に向かって波及していく陽実、そして最後に熱自体が消失してしまう陽虚へと進んでいきます。つまり、何らかの誘因によって生じた精気の虚が、初めは違和感程度だったものが、徐々に冷えを増していき、内部の痛みから外部の痛みへ発展して、最終的に痛みも何もない知覚の鈍麻した状態になっていく。というプロセスたどっていくことになります。全ての症状に当てはめることが可能な、極めて生理的な経過の話です。そう考えれば、より冷えが強いのは、どちらの方か?、という疑問に答えることができます。では、どうすれば、鈍麻の井穴の反応の方が、実際に冷えが強い反応だと、確かめることができるのでしょう?答えは簡単です。その井穴を刺激して、それに応じて、深い指標が変
化するかどうかをみれば、明らかです。要するに、痛い方の井穴を圧してみて、
どの指標が対応して変化するのか、また鈍麻している井穴を圧したら、どの指標が変わるのか、反応する体をみれば、一目瞭然です。つまり、深い冷えとリンクしているから、井穴を選択したのであって、井穴だからという理由で使ってたわけではないのです。全ての行為が、冷えをとることを元にして、組み立てられていることを認識しておく必要があります。

今日の基礎集中より