基礎集中・臨床研修・太子堂水曜日

からだに現れる、指標、をつかむ。

からだには、日々の状態によって、様々な症状、例えば、筋肉の凝りや張りといったものが、出てきます。

そうした反応の、現れやすい場所のことを、ツボ、と表現したりしますが、もう一つ、その場所のことを別の言葉で、表現することができます。

それが、指標、です。

からだを調整する治療行為の、労力のほとんどが、この指標をみることに、費やされている、と言っても過言ではありません。

治療中に、からだのあちこちに、触れていることに、気が付かれると思いますが、これは、すべて、指標をみているものです。

なぜ、そんことをしているのか。

それは、単純に、凝りを触っている、というだけのものではなく、その場所が本当に、効果的なのか、また、その治療を、どのくらいの時間続けたらいいのか、さらに、どのくらいの間隔で、治療を続けたらいいのか、

そういった、治療に関する判断の、ほぼ全てを、この指標によって、決めている、ということになります。

確かに、患者さんには、初めに問診などをして、お話をうかがってはいますが、実をいうと、本人の自覚、というものは、思い込みの部分が多くて、正確にからだの状況を、反映していないことが、多いのです。

これは、人の脳の特徴でもあるようですが、痛みなどの苦痛を感じる情報は、そのままダイレクトに、脳に伝達されるわけではなくて、かなり神経や脳内で、脚色されて、表現されて自覚しているものなのです。

患者さんの中には、痛む場所が、どこだかよくわからないけれど、とにかくその辺りが痛い、と訴える方は、結構、多くいるのです。

そこで、役に立つのが、指標、ということになります。

この、からだに現れている指標は、自律神経でコントロールされているものなので、本人の自覚とは、関係なく出てくるものなのです。

自律神経による発刊を利用した、うそ発見器を、イメージしていただければ、いいかと思いますが、自律神経を通して、現れてくる反応を触診して、からだの内部の状況を、モニターしていこうという考え方です。

また、うそ発見器が、瞬時に反応するように、からだの指標も、瞬時に反応しているので、その治療の適、不適も、指標を触れば、すぐにわかりますし、また、継続か、終了かも、瞬時に答えを出してくれます。

もう少し言えば、患者さん本人が、もう治った、と思っていても、指標を触診した結果が、思わしくない状態であれば、確実に、症状はぶり返してきますし、当然、その反対もあり、本人が、まだ症状が残っている、と感じていても、指標が、とても良い状況を、示していれば、回復は時間の問題なのです。

指標とは、そういうものです。

さて、ここに、興味深い一つの症例があるので、参考までに、記録しておこうと思います。

通常、目の症状というと、目の周囲や、後頭部から首にかけて、よく触診をして指標を探し、その指標の変化を、確認しながら治療を、進めていくことが、多いのですが、

ある難病指定になっている、目の病気を持った患者さんには、その辺り全く指標が、現れていませんでした。

目の病気だからといって、頭部周辺に指標があるとは、限らないのです。

そこで、よくからだを触診していったところ、足に、多く指標が集約していることに、気が付きました。

足にある指標が、変化すように治療していった結果、目の状況が改善したのです。

このことによって、目の症状と、足に現れているものが、リンクしていた、ということが分かります。

もちろん、すべての人に共通している反応である、ということでは、ありません。別な人は、また別な指標を、探ることになるのです。