基礎Ⅱ日曜クラス 第3回報告 その1

タイトル:基礎Ⅱ日曜クラス 第3回報告 その1
6月26日(日)基礎Ⅱ日曜コースの3回目が行われました。
今回は「腸骨稜の指標の使い方と補助治療」の座学と「長鍼・大鍼」の実技でした。
●今回も受講生から質問がありました。
「練習相手になってもらっている方が、次の日、症状が悪化してしまったが、次練習させてもらうときはどういう所に注意
をしたらよいか」という質問でした。
髙橋先生は、「まず、第一条件として、治療した後から症状が悪化した時までに何かなかったか、本人に無理がなかっ
たかを確認してほしい。治療という行為は身体が変化することであり、治療後はゆっくり休んでもらうのが大原則。変化した身体に対して、さらに負荷をかけると症状が悪化する可能性がある。もし練習相手の方が治療後に負荷のかかることをしていなかったのであれば、症状の悪化に治療の影響が考えられる。その時は、どのツボが原因というわけではなく、トータルの刺激量を考える必要がある。ツボ数が多くなかったか?刺激が強くなかったか?治療時間が長くなかったか?を考えていきましょう。例えば、前回練習に1時間かかっていたのであれば、次回は30分にしてみては。」と話されていました。これは、治療者であれば、誰でも遭遇することではないかなといういい質問だったのではないかなと思います。
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●そして、前回の復習。。。
前回の講義のポイントは「病症の成立ちは、まず下虚が手足の末端から始まり上に昇っていく」と「腸骨稜の指標」そして「自動運動できる指標を作る」そして「基本治療中に指標から補助治療の予測をする」ということでしたね。
積聚治療を学んでいく上で、「精気の虚」を理解する事はとても大切なことですが、それを理解する前に、まずは、病症の成立ちを理解してほしいと話されていましたね。この病症の成立ちが解ると、なんで病気になったのか、どういう風に身体が変化してきたかが解るようになってきます。具体的には、病症は下から始まり、上へ上へと上がっていきます。指標の反応の有無も同様で、下の指標から反応が出始め、病症が悪化するに従って上の指標にも反応が出て来る。冷えが増えることで熱自体が消えてなくなるわけではなく、下で発生した冷えが増長されることで、体の中の熱量がだんだんと上の方に追い詰められていくイメージですと髙橋先生は話されていました。このイメージ、私にはとてもシックリくるものでした。
そして、腸骨稜の指標。陰の病症はこれに尽きる。と髙橋先生は話されていましたね。この腸骨稜の指標をどの様に捉えて、反応を取っていくかというのが、スムーズにわかると、下半身の病症の治し方が桁違いに違ってくると話されていましたね
そして、自動運動ができる指標を作り、鍼を当てるごとにその運動を繰り返してもらう。特に基本治療中の腹臥位中に確認できる姿勢を考え、見つけることが大切でしたね。例え話で、理髪店に髪の毛を切りに行った場合、店主は全部切り終わった後にどうですかとは聞かない。もう少し長めが良かったですと言われても困りますからね。という話はとても理解を助けたのではないでしょうか。
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●つぎに、「腸骨稜の指標の使い方と補助治療」の講義でした。
陰の病症の基本治療をするときには、まず腸骨稜の指標を確認することが大切でした。基本治療で腸骨稜が緩み・主訴も変化があれば、補助治療は必要ありませんでしたね。基本治療をしても(1)腸骨稜の指標が緩まない・(2)腸骨稜の指標が緩んでも主訴が変化しない場合は、補助治療が必要であることが予測することができました。
 まず、(1)の場合は、様々な補助治療があるのですが、その選択肢は治療者の技量によって変わってくるという話をされていました。基礎Ⅱの受講生の方は、①患側に特殊鍼法(長鍼・大鍼・灸頭鍼)、②健側に豪鍼で巨刺(腸骨稜の指標・崑崙・委中・委陽)、③患側の失眠の灸、④脊際・督脈の順で使用していくと良く、この時のポイントは、この補助治療がダメだったら次はこれと言う様に、追いかけることが大切でしたね。鍼自体の力が大きいものから使い、順に術者の補う技量に頼った補助治療になっていってますね。上手くなればなるほど、④に近い方向の補助治療だけで済むようなってくると話されていました。
 (1)①は、腸骨稜の指標の反応が深い部分の場合は長鍼。腸骨稜の指標の反応のコリが大きかったり痛みが強い場合は大鍼。それに加えて、触って冷えている場合は、灸頭鍼を使っていくんでしたね。とても興味深いのは、この鍼達も「すりおろし」で入れていくということだと私は思います。髙橋先生も「積聚治療=刺さないと思っているかもしれないけれども、刺さないんではなくて、刺す前に変化が出てしまうから、それ以上鍼をしない、つまり結果的に刺さないだけですからね」と話されていましたね。
 (1)②は、鍼灸の「ツボへの刺激」は「変化をさせたい場所」から遠い方が「精気」を補いやすいという発想から応用されたものでしたね。「主訴」や「残った指標」から「どのツボが遠いのかな」っていうのを常に見ていくと良いと話されていました。
 (1)④は、取穴が非常に難しく、①②を使っていくことで、その取穴能力と腸骨稜の指標との関連性をよむ力が養われていくと話されていました。
 つぎに、(2)の場合は、仰臥位になって頂き、陰面のツボ(太谿・三陰交・復溜・曲骨)を使っていくと話されていました。
選穴は積と絡めてもよいと話されていましたね。太谿・三陰交・復溜をまず使い、どうしてもダメな場合は曲骨を使っていきましたね。
 そして、腸骨稜の指標の有無に関わらず、使える補助治療として、井穴・榮兪穴の説明がありましたね。井穴は一番反応が顕著なところのツボに透熱灸。榮兪穴は灸だと跡が残りやすいし、井穴の灸でも代用が可能なので、皮内鍼や円皮鍼の使用を勧められていました。井穴に灸をする際の注意する点は、患部に熱感がある場合は、灸をすると悪化するので、そういう場合は、刺絡でした。
●実技では、基本治療の後に、長鍼と大鍼を経験してみましたね。指標の変化を見ながら使ってみて、刺さったから効くわけではなくて、結果的に深く刺すことができる鍼を使うことに意味があり、道具自体の力強さを感じられた方もいたのではないでしょうか。
●講習が終わってみて、今回も非常に内容の濃い一日だったかと思います。
では、次回は7月10日(日)です。
次回も元気にお会いしましょう。
基礎Ⅱ日曜クラス 聴講生 伊賀秀文