弘法筆を選ばず その6

名前を知っていますか?水しみ込ませたスポンジのやつ。

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『紙めくり』と呼ばれています。なぜ治療院のワゴンの上に『紙めくり』があるのか。そうです。お灸を多用する皆さんや、熱心に灸の練習をしている学生さんならピンときたはずです。患者さんにお灸をするとき、艾炷を立ちやすくする為に用います。患者さんの皮膚には皮脂や汗がついてますので、そんなに使用することは無いのですが、あると大変便利です。昔の先生方は自分のつば(唾)をちょいとつけてやっていたようですが、衛生的に敏感な現代ではなかなかそんなことはできませんよね。施灸部位をアルコールで消毒してからお灸することが、現在の鍼灸学校の教科書には載っています。消毒直後だと、かるくアルコールで濡れますので、それでも艾炷は立ちやすくなります。ん?消毒?。火を扱うお灸で、施灸後ならともかく、施灸前に消毒する意味はどこにあるのだろうか?鍼灸学校ではどのように教えているのでしょうか?。火を扱う消毒と言えば焼却に代表され、消毒レベルとしては最も高く、化学的な消毒法など足元にも及ばないはずなのに…。ある鍼灸関係の本にはこんな理由が記載してありました。「汗や汚れが皮膚感覚を低下させる」と。つまり消毒目的ではなく治療効果の為との説明が…。うーん。みなさんはどう思いますか。

ちなみにこの『紙めくり』は『切手めくり器』という名称とごっちゃにされるようですが、『切手めくり器』は郵便局にある水に濡れたローラーが回転するやつを言います。紙が滑らないように手に水をつけるのと、切手裏面ののりを濡らす(溶かす)為に水をつけるのでは、そもそもの目的が違います。ちなみに『紙めくり』は現在、指につけるゴムサックや水の代わりにクリーム状のものなんかも発売されております。また、海綿体がスポンジ状であることから、スポンジを海綿と呼んだりもします。洗顔用品のスポンジは海綿の名前でも呼ばれています。まっ、何はともあれ買うときにはスポンジのやつ…で通じます(笑)。お道具大好きー。