基礎Ⅰ東京日曜コース 第五回目報告
聴講生の高橋です。
基礎Ⅰ東京日曜コース 第五回目の報告をさせて頂きます。
今回の内容は
○講義:背部兪穴治療
○デモ:背部区分について
○実技:腹部接触鍼~背部治療まで
という内容でした
今回は、ついに背部の内容に入ってきましたね。いよいよ佳境といったところでしょうか。
背部にも区分が有り、それを用いて治療をするという段階に入りました。
背部の区分については、小林会長が発想をされた内容で、これは鍼灸の歴史上で初出です。私はこれを聞いたとき、何だか凄い感動してしまって、歴史の一部になるような治療を習っているんだなーと感じた事を思い出しました。鍼灸の歴史は非常に長いものであり、その中で理論を形成するというのは多くの苦労等があったのだと思います。歴史を紐解き過去からの経験を紡ぎ、新たな一手を生み出す。そんな大きな流れを目の前に感じました。伝統って凄いですよね。
話がズレましたが、背部区分は、上から「金」「火」「木」「土」「水」となります。「金」であれば「肺兪」や「魄戸」など、五行的にみた際に「金」に関係する内容が集約されています。これが区分できる事に気づき臨床で応用したところ著明な効果が見られ、採用されています。
応用方法として『難経』の69難の内容を利用します。経絡治療で重要視される「虚すればその母を補い実すればその子を寫す」という物ですね。経絡治療も学ばれた会長ですので、背部区分に対しその方法を用いました。今現在、理論は進化した事で五行的な判断はされませんが、積聚治療が完成に至るまでの一時期ではそう考えられていました。
積聚治療は簡単に言うと「腹部の異常を背部で治す」という物です。
ここまでの内容を基に解釈していくと、腹部の異常とは、「積」と「聚」に分かれる全身を反映した異常ですね。(細かく言うと、背部で治す段階まで残っているものは「積」ですが)
腹部の区分に基づき、積はその存在する場所に応じて(便宜上)五臓の名前が付けられます。例えば、腹診をした結果、唯一ある異常が「鳩尾穴の圧痛」だとすると、鳩尾穴⇒心のエリア。であるので、心のエリアにある積=心積となるわけですね。
証としては、【心積心虚証】となります。心積は前述の通り。心虚とは、「心積が出るような精気の虚の状態」の意味です。
積のあるエリアに応じて心積心虚証、脾積脾虚証、腎積腎虚証、肝積肝虚証、肺積肺虚証となります。
腹診をして証を出す事は、その後の治療内容が変わる事を意味します。それぞれの証に対して治療が存在することになる訳です。具体的に言うと背部の区分の刺激順序が違います。
例えば心積心虚証で言うと、「(背部区分の)①木→②火→③金→④水」となります。
治療順序が考え始められた時期には、69難方式が用いられていましたので、当時は
①木:火の親を補う → ②火:火自体を補う → ③金:木(親)を克する金を寫す → ④水:火(自)を克する水を寫す
という流れで作られました。
この治療手順を10巻などでは「順治」、テキスト・赤本・続赤本では「第一方式」と呼ばれています。2つの違いは理論の変化によるものですが、詳しくは基礎Ⅱ以降で習うかと思います。
初学者の中にはこの手順を覚えるだけでも苦労される方が見受けられますが、何事も繰り返せば出来ますから、出来るまで繰り返してみてください。治療にはリズムというか流れがありますから、それを切ってしまうのはあまり良い事ではありません。
その上で。区分、取穴方法、指標(特に志室)の診方、治療手順など反復して実践しましょう。ここまでの内容でほぼ基本治療の内容が構成されていますので、何度も反復し自分の物としていきましょう。
次回はいよいよ基本治療の総仕上げ!がんばっていきましょう。
そして、、、秘かに楽しみにしています懇親会。皆さんとお話が楽しみです高橋でした。
基礎1東京日曜聴講生 高橋洋輔