触り心地が、重要です。
人の指先の皮膚は、1ミリの百分の1のパターンを、認識することができるそうです。
そして、そのパターンが、心地がよいものなのか、あるいは、心地悪いものなのか、そんなふうに、皮膚自体が、感じているようです。
従来は、脳だけが、その判断をしているように、思われていましたが、脳に、情報が伝えられるよりも、もっと、早い段階で、瞬時に、それが、いいものなのか、悪いものなのか、皮膚が、判断しているということなのです。
治療の最中に、鍼をしながら、毎回同じところを、何度も触診するような動作を、繰り返していることに、お気づきでしょうか。
実は、その動きは、治療中に、微妙に変化し続ける、皮膚の感触を、確認しているのです。
鍼の治療が、最適な刺激であれば、指先が、感じる触感が、とても、心地よいものに、変わっていきます。
逆に、鍼の刺激が、治療されている人に、適していなければ、触り心地が、どんどん悪くなってきてしまいます。
この感覚を、私たちの鍼灸治療では、とても大事にしています。
これは、何も鍼灸だけのことではなくて、例えば、漢方薬でも、その人に、最適な薬であれば、苦いお薬でも、美味しいとまでは、言いませんが、飲み心地が、よく感じるものなのです。
また、そういうことを、証、が合っている。といいます。
鍼の世界では、ここが、触り心地、なのです。
鍼にしても、灸にしても、治療された、患者さんの方だけではなく、治療している側の感じる、手触りも、心地よくなってくることが、とても重要なのです。
触り心地、などというと、どうも、主観的で、いい加減なような気がしますが、どんな精密機器よりも、触り方によっては、かえって、指先の方が、精度が高くなることも、よく知られたことではないでしょうか。
心地よい、という感覚が、生き物の、判断基準として、とても、有効なものだということができます。
まるで、神様が、進むべき方向を、指し示してくれる、羅針盤として、あらかじめ、付けてくれていたものなのかと、思えるほどです。
風の子堂鍼灸院 中谷哲
Kazenokodo Acupuncture Clinic SATOSHI NAKAYA