基礎Ⅰ日曜クラス 第1回報告 2017年5月14日

こんにちは。基礎Ⅰ日曜コースの助手をさせて頂いております伊賀秀文です。
5月14日(日)に基礎Ⅰ日曜コースの第一回目の講習会が行われました。
待ちに待ったという方も多いのではないでしょうか。
講習会ごとに、その日の連絡や講義内容を復習しやすい様にブログの更新をしていきたいと思っております。
●まず、連絡事項ですね。
基礎Ⅰ日曜コースの第8回目は10月8日から10月1日に変更になりました。
●では、早速、講義内容を復習していきましょう。
今日の内容は、
・積聚治療の歴史
・積聚治療の目的
・積聚治療の特徴4つ
について講義がありました。
●積聚治療の歴史
・積聚治療は関東鍼灸専門学校で発祥しました。
・積聚治療の創始者は、皆さんご存知の小林詔司先生です。
・小林詔司先生は、東洋鍼灸専門学校を卒業後、小野文恵先生の影響を受け、経絡治療で治療をしていましたが、その後東洋的な鍼を追求したく思い、東京教育大学(現・筑波大学)の理療科養成施設に進学。しかし当時は東洋的な鍼を教わることができず、卒業後、世田谷に友人と共に太子堂鍼灸院を開業されました。
・時を同じくして、関東鍼灸専門学校の初代校長になられる小林三剛先生は、加藤大岳先生という著名な易者さんのもとで易者さんをされており、易学を深めるために必要な五術(命・相・卜・仙・医)の医術を学ぶために東洋鍼灸専門学校に入学されました。しかし、そこでは、小林三剛先生の思うような東洋的な医術を学ぶことが出来ず、東洋的な医術を学べる学校を創ろうと思いたち、関東鍼灸専門学校が設立されました。歴史に名を残す先生方は、この辺りがすごいですよね。無いなら創ってしまおうという発想、見習いたいものです。
・そして、関東鍼灸専門学校の設立の際に、講師として声がかかったのが小林詔司先生でした。講師をするに辺り、小林三剛先生は小林詔司先生に易をお教えになり、小林詔司先生は、このとき、易に出会いました。小林詔司先生は実技を教えるにあたり、自分たちが受けることが出来なかった東洋的な授業を実現したく思い、「すべてにおいて東洋的に説明できる理論体系」を模索しました。そして、その治療の根幹になりえると注目したのが「お腹」でしたね。
・そして、1979年夏、小林詔司先生は背部兪穴の五行性に閃くものを感じ、難行の56難ですでに五行的に区分されているお腹と関連付けて見ようと思いたちます。さらに、背部を独自に5つに区分して関連づけてみることを閃きました。
・腹部で東洋的な腹証をたてて、難行69難に基づいて、背部兪穴の五行配列を刺激すると、お腹の症状を意図したとおりに治療できることを臨床を通して発見しました。こうして「積聚治療」は誕生したのでした。
●積聚治療の特徴4つ
・病の原因を「精気の虚」「生命力の低下」として把握する
・あらゆる症状は「精気の虚」「生命力の低下」によって生じるので、すべてを「指標」としてとらえる。
・治療というのは「(病的な)精気の虚」「生命力の低下」を補う(回復させる)ことが治療目的
・積聚治療は「基本治療」と「補助治療」からなる
※このなかで、「精気の虚」「指標」は積聚治療を特徴づけている概念ですね。
●「精気の虚」と「積聚治療の目的」
・小林詔司先生は、人は年を取り、それに伴い徐々に死に向かっていき、「生命力」が「低下」し、尽きたときに人は亡くなるという事に注目されていました。
・「生命力」という言葉を東洋的な言葉に直すと「精気」という言葉になります。また、「低下」という言葉を東洋的な言葉に直すと「虚」という言葉になります。「生命力の低下」を「精気の虚」と呼ぼうとなったわけです。
・「精気の虚」には、「生理的な精気の虚」と「病的な精気の虚」がありましたね。
・「生理的な精気の虚」とは、人は年をとるということでした。
・「病的な精気の虚」とは、体を弱らせる何かしらの原因によって、本来の生理的な精気の減り具合よりも早く精気が低下することでしたね。
・この「病的な精気の虚」を補っていき、「精気の虚」の程度を「生理的な精気の虚」だけの状態に戻すことが、積聚治療の目的でした。
・この考え方で行くと、世の中には多くの治療法がありますが、その治療法が主訴などに直接作用するのではなく、その治療法により「精気の虚」が補われることで、患者さんの症状や指標が改善されたと見る事ができる様になり、他のどんな治療法も否定する必要は無く、何が起きたか同じ土俵で把握することが出来るようになる。これは物凄いことだと田坂先生も話されてましたね。
●「指標」
・「精気」「生命力」は目で見ることが出来ない。
・見る事ができないと、治療の際、補っている量が実感できない。
・そこで小林先生が考えたのが「指標」という考え方。
・「指標」は、主訴を含めて患者さんの自覚に関係なく見られる体の反応でしたね。
・すべての「指標」は、「精気の虚」によって出現したと捉えるので、「指標」の圧痛や硬さの状態の変化を確認することで、「精気の虚」の補い具合を類推することが出来る様になりましたね。
・「指標」を確認することで、その患者さんの状態が把握できるので、病名に囚われず治療ができる様になります。たとえ、知らない病名の患者さんが来たり、言葉が通じない相手でも治療は可能ですね。
・また、「指標」を確認することで、その患者さんの重症度が読めるようになってくるので、治療間隔も具体的に提案できると話されていました。
●「基本治療」と「補助治療」
・基本治療というのは、どんな症状の人にも、必ず行う治療の手順でしたね。
・そして基本治療の後に、もう少し精気を補い足したい場合に行うのが補助治療でした。
・この基本治療を勉強していくのが、基礎Ⅰコース。
・補助治療について勉強して行くのが基礎Ⅱコース。
・基本治療の手順は、小林先生が基本治療を行って来た中で、効率良く「精気の虚」を補うことを考えて作られてきた手順でしたね。
・小林先生は臨床で「人体への軽い刺激」を「浅い部分」にあてるだけでも、お腹や体全体に影響が及び、変化が生じることを臨床を通して感じていました。浅い所から深い所に徐々にアプローチして行ったほうが、患者さんにも無理なく治療でき、より深い部分が動かしやすくなります。そして、この手順が考え出されました。
・基礎Ⅰでは、基本治療を習って行きますが、最初は60分位かかってしまいますが、練習をして基礎Ⅰが終わるころには40分位で終えられるようになりましょう。
●基本治療の手順は、サーっと説明がありましたね。
脈拍の確認(15秒での脈拍数×4倍)→指標の確認→腹部接触鍼→脈の確認・調整(陽実脈・陰虚脈の確認、大陵or太淵)→積の確認→背部接触鍼→腹証に応じた背部兪穴治療→仰臥位→脈・積の確認→(補助治療)→座位→肩井に治療
夏くらいまでに、一通りの説明が終わりますので、集中して実技を行いましょう。
●実技を習っていく際に、体表観察の知識としては、
腹部を5つの区分に分ける際に必要になってくる知識は、上脘、陰交、気海、関元、腹部腎経ライン、腹部胃経ラインでした。
背部を5つの区分に分ける際に必要になってくる知識は、第1胸椎、第4胸椎、第7胸椎、第11胸椎、第2腰椎、ヤコビー線でした。
・背部兪穴を選穴する際に必要になってくる知識は、膀胱2行線のラインでした。
次回スムーズに知識習得するために復習をしておきましょう。

●次回、第2回目は5月28日午前10時~です。
また元気にお会いしましょう。

助手 伊賀秀文