基礎1コース日曜日クラス 第3回

2023年6月18日基礎1コース日曜日クラスの第3回の講習会が開かれました。

今回のテーマは脈診です。

積聚治療の脈診が、今の形になるまでの歴史的背景が説明され、経絡治療の脈診では、臓腑の状態が脈に反映されていると考え、この脈診を対象に治療がおなわれていたのですが、小林先生「は気の多重層的構造」という考えから、五臓の状態は直接お腹を診よう、脈診ではより浅層の脈を診ていこうという形で役割分担をさせたことになったこと。そして、次の層へのアプローチという形で手順が組まれることになり、血脈は腹部接触鍼の次の層にあたるので、腹部接触鍼のより深い層、つまり次層の脈を診ていこうということになっていると解説されました。

前回から何度か出てくるこの「気の多重層的構造」ですが、頭で理解するよりも、先ずは今まで習った腹部接触鍼や、今回の脈調整でどのように指標が変化していくのか体感することの方が私は理解しやすいと感じています。

講義では続いて、脈状について、脈位について、基本的な指の置き方、そして何を診ていくのか、何を目的としているかについて説明がなされました。

先ずは、陽脈、陰脈、中脈の内容について、説明がありました。

そして、積聚治療の歴史的な経過の解説があり、小林先生が当初おこなっていた治療の脈診では、脈状を陽脈・中脈・陰脈と分け、陽脈の異常は陽実脈とし六腑の異常を、陰脈の異常は陰虚脈として五臓の異常を表していること、そして寸口に寸・関・尺という左右6箇所に割り当てて臓腑の状態を診ていくことを説明されました。また、「陰主陽従」という法則があり、陽である六腑の異常は陰となる五臓の問題から起きているので、五臓を調整すれば六腑の問題も解決できるという考えがあることも説明されました。

ところが、小林詔司先生はこの脈診を基にして積聚治療の脈診を作りますが、脈位については同じだが、ここに易の思想から、陽脈は浅い、陰脈は深いという気の概念を取り入れ、五臓六腑ではなく、浅い気の異常、深い気の異常と捉え、陽脈を陽実以外に陽虚、陰脈の方も陰虚以外に陰実という形を考え、全部で四つの脈になったと説明されました。

そして、この4つの脈の意味について解説がありました。陽実脈は表層・陽位に熱がある脈、陰実脈は深層・陰位に熱がある脈。また、陰虚病症は生命力が低下し、体のどこかに冷えが生じた状態。陽虚病症は生命力の低下が著しく、体温も冷えている状態と考え、浅い・深いということに、冷えと熱という概念を加えて考えたと解説されました。そして、先ほどの「陰主陽従」の考え方から最も重要なものを陰虚脈とし、脈の調整をするために必要なのは陰虚脈の状態であるとシンプルに考えたと解説されました。

積聚治療の脈診が、他の脈診と大きく異なるのが、この四つの脈の意味づけだと思います。ここにも「気の概念」や「易の思想」が強く現れているように感じます。

引き続き、陰の脈、陽の脈の触れ方、評価の仕方について説明がありました。

陰虚脈では立ち上がりの強さの程度を他と比較して3段階に分けること。陰実脈は押し沈めた時に拍動が強すぎて止められない強さを3段階で表そうと。また、皮膚表面に軽く指を当てただけで触れる脈は全て陽実脈としてこの強さを3段階で表すこと。中脈を触れようとしても感じられない、あるいはさらに少し圧すると脈がすぐに消えてしまう脈を陽虚脈とすること説明がありました。

そして、実際の脈診での患者の手の向け方、術者の指の位置や、脈に触れる指の形など説明がなされました。ここで大切なことは、常に術者の母指・示指・中指・薬指をいつも同じ位置に指を置くこと、そして、示指・中指・薬指の関節を曲げずに、それぞれの指腹で触れることが大切であること。毎回、触覚を重視して、指先で置く場所を決めるのではなく、確実に目視して、毎回ここで診るという位置を決めることが重要であると述べられました。

私も、積聚治療を学んできて一番難しく感じたのはこの脈診でした。当時学生であったので、クラスメイトの脈を機会あるごとに診させてもらって練習した記憶があります。この時に良かったことは、何度も同じ人に脈診することによって、今日は押圧する指の位置が違うとか、押圧の力の入れ方や抜き方が違うとか指摘してもらえたこと、そして多くの人の脈を診ることで、さまざまな脈の状態に触れることができたことでした。

この講義の後、脈診の実技デモが行われ、模擬患者の身体を使って、脈診の手の構え方、脈の触れ方について説明がありました。

デモの後は、お互いに脈診の実技です。この際には、各ベッド1組でお互いの脈を診るだけではなく、術者役の講習生が、順番に回りながらベッドに寝ている患者役の講習生の脈診を行うという実技が行われました。

  

 後半は脈調整です。腹部接触鍼後の次層の気を動かすことによって、生命力の低下を回復しようということと説明がありました。

積聚治療では脈調整に太淵と大陵が使われますが、なぜこのツボを小林先生は選んだかについて、『東洋医学講座 第10巻』の内容から、どのように脈調整の際の選穴が変遷していったか、またなぜそのツボが使われたのかについての説明がなされました。

そして、実際の脈調整での選穴の方法、指標の診方、また陰虚脈が現れやすい6つのパターンについて説明されました。

脈調整の選穴についてなぜ大陵かなのかは、10巻で解説がなされていますが、私自身、初めは読んだだけでは全く何が何だかわからなく、頭の中が「?」マークだらけになったことがありました、今回の高橋先生の講義では、とてもわかりやすく解説されていましたので、もう一度10巻から読み返して再確認をしてみようと思います。

講義ではこの後、脈調整だけではなく、主訴の確認、脈拍数測定、膝周りの指標確認、腹部接触鍼、膝回りの指標の再確認、脈診、脈調整の指標確認、脈調整、脈調整の指標再確認という、これまでの手順のデモが行われ、その後実際にお互いにこの内容で実技が行われました。

 

今回の講義は盛りだくさんでしたね。

できるだけたくさんの人の脈を診ることが上達の近道だと感じています。

今回の実技内容の流れだけでも、患者の体はかなり変化しますので、指標の確認をしながら、どんどん実践してみるといいと思います。