2023年7月9日基礎1コース日曜日クラスの第5回の講習会が開かれました。
今回のテーマは背部治療です。
背部治療は、生命力の低下を回復させる中心的な治療であり、中でも膀胱経2行線のツボは基本治療として用いられるので、この2行線の取穴が重要であること。そして、積聚治療での2行線は膀胱経2行線のように棘突起の外方3寸でみるのではなく、脊柱起立筋の外縁でとることと説明されました。
続いて。背中の横区分の説明がありました。これはお腹が五臓によって五つに分けられたように、背中も五臓の兪穴によって五つに分けることができ、お腹の積があった位置から、背中の五行のツボのどれを使うかということで、お腹の五行と背中の五行を組み合わせて背部治療がなされること。
そして、この5つの領域の横区分ではツボのように脊柱の棘突起間ではなく、棘突起上を用いることと説明されました。
続いて、各領域からは1つのツボを使用すること。そして、各領域での取穴方法を細かく説明されました。
このように脊柱起立筋や脊柱の棘突起自体で見ていくということは、前回の腹部の領域で腹直筋や、臍の幅を基準に、あるいは肋骨や剣状突起、恥骨などの骨を基にする方法と同じで、筋肉や骨でみていくということが積聚治療の体表観察の特徴と感じます。初めは、慣れないと思いますが、色々な体格の人の体を触って、繰り返し練習して慣れていくことが大切だと思います。
講義ではこの後、背部治療で用いられる指標が紹介され、さらに、高橋先生が患者役のモデルに対して実際に2行線を引き、横区分を分けて行きました。この際に、どのようにして脊柱起立筋の外縁を探すのか、横区分の棘突起の探し方など、具体的に説明が行われました。
そして、デモの後は実際に講習生同士がペアとなって2行線を引き、横区分を分けて線を引いたのちに、各自、高橋先生のチェックを受けました。
講義ではその後、背部の5領域からのツボの選び方、そして治療で使うツボの順番について説明がありました。
まずは、背部治療では4つの領域を選択し、順番に鍼をしていくが、2番目に当たるツボは五臓の積と同じであること。そして、その積に応じてツボを用いること。ツボを用いる順番は小林先生が最初に考えたものを第1方式(順治)とするが、現在では4つのパターンがあること。また、原則として志室を指標にして、痛みや硬結のない健側の2行線を治療に用いることを説明されました。
また、なぜ5つの領域の中から4つの領域を選ぶかについては、五行の相克関係から割り出されていること。そして、治療する手順は相生関係と相克関係を使っているということを説明されました。
このなぜ4穴を選ぶかについては、『東洋医学講座』第10巻に詳細が記載されていますが、今回の高橋先生の解説は、とてもわかりやすかったのではないでしょうか。
実際に治療を行う際に、最初は順番を忘れたり、間違えたりすることも多いと思います。その時に、積のある五行は2番目、後は相生と相剋関係と覚えておけばわかりやすいのではないかと思います。
講義では、この後、背部治療の指標確認、背部接触鍼、背部治療、指標の再確認のデモが行われました。デモの際には、指標の触り方やツボの見つけ方も解説されました。
デモの後は実技練習です。今回は腹診して積を見つけて、背部のツボを左右10箇所取穴して、そのうちの1箇所を刺鍼して指標の変化を確認する練習です。この際に、各自、高橋先生から取穴の確認を受けていました。
そして、さらにもう一度指標の触り方のデモが行われ、その後、お互いに指標の確認の練習を行い、各自高橋先生からフィードバックを受けました。
先ほども述べましたが、積聚治療では脈診、腹診、背部取穴、そして仰臥位・伏臥位それぞれに行う指標の確認と、患者の体表を触れて診る作業がたくさんあります。最初は慣れないので戸惑うこともあります。大切なのは、講習会の際に先生の実技を観察することもありますが、何より患者役の時に先生に触ってもらうことも大切なことと感じます。
次回は、背部治療の後、最終段階の座位の治療です。
基礎1コース日曜日クラスも早くも半分が終了しました。たくさん憶えることがあって大変だとは思いますが、ここまでの理論や治療手順を復習して、そして実際に何度も練習をして指標の変化などを感じてみることが大切だと思います。