2023年度 基礎1日曜コース追加クラス第4回

2023年7月24日に基礎1日曜追加クラスの第4回目の講習会が行われました。

今回の内容は「腹診」。

講義はまず前回まで学んだ「腹部接触鍼」「脈診」についての復習から始まりました。

「脈診」の復習では積聚治療の脈診と小林先生が臨床を始めた当時行っていた脈診との比較をスライドで説明し、何が違うのか高橋先生は詳しく説明されていました。

2つの脈診の比較では、中脈を基準とし浅いところを陽位、深いところを陰位とするところと、寸口・関上・尺中に五臓六腑を配置しているところは共通しています。

しかし、小林先生が当時行っていた脈診と積聚治療の脉診とでは理論的な位置付けが異なり、当時行っていた脈診では病の根幹である臓腑経絡の異常を診ていたのに対し、積聚治療の脈診では腹部接触鍼で動いた次の層の気の状態を脈診で診ていき、臓腑の状態は腹診で診ていく違いがあることを学びました。

そしていよいよ腹診です。

積聚治療では病の原因を生命力の低下として考え

その生命力の低下は「指標」として主訴、膝周りの痛みや硬さなどに現れ、それを把握することができると学んできました。

腹部も同様で生命力が低下すると痛み・硬さ・拍動などの異常が出てきます。この腹部に現れる異常を『難経』では「積聚」と表現しています。

積聚は気の密度の違いから「積」と「聚」に分けることができ、どちらも気が集積したものとし、「積」のほうが「聚」よりも気の密度が高く、そのため「積」よりも「聚」のほうが変化しやすいこと、積聚治療では「腹部接触鍼」や「脈調整」までの治療の段階で消えたものを「聚」とし、消えずに残った腹部の異常を「積」として腹診で診ていくと学びました。

また、臨床において治療者がいかに腹部接触鍼と脈調整を上手く行うかによって「聚」の消失する程度が変わることを『積聚治療』(医道の日本社)に記載されている図を用いて説明されていました。

続いて「積」の概要について、①「痛積」(痛み)、「牢積」(硬さ)、拍「動積」(拍動)の3つがあること、②積には治療を行う上で優先順位があり、痛積が最優先、続いて牢積、最後に動積とすること、③痛積は自覚痛を優先し、同程度の積が上下で存在する場合、下方を優先し、同程度の積が同じ高さの場合は中央を優先とすることを説明されました。

その後、腹部の5つの領域の分け方を実際にモデルの腹部で説明し、各領域の境界となるツボや経絡について細かく注意されました。そして、受講生同士で同様に腹部に線を引き、先生のチェックを受けました。

続いて腹診時のお腹の触り方についてデモが行われ、

・腹診はなんとなく触れていくのではなく、毎回同じ見方でルーティン化し見落としを防ぐこと。

・示指・中指・薬指を均等に開き広い範囲を見ていくこと。

・患者さんのお腹の腹圧と均衡がとれる深さの位置で見ていくと説明がありました。

人によって胸骨剣状突起の大きさ、お臍の幅、筋肉の程度も全然違い5領域の基準も異なってくるため、できるだけ色々な人のお腹に触れて練習することを強調されていました。

その後、受講生同士でお互いの腹診を行い、デモで説明があった注意点に気をつけながら、痛み・硬さ・拍動など異常と感じる部分に全て印を付けていきました。

積聚治療では、腹診は脈調整まで終了した後に行いますが、今回の実技では「積」「聚」が混在した状態で腹診をまず行い後の腹部接触鍼・脈調整後にどのように変化をするか確認を行いました。

お互いの腹診が終わった後、先生による脈拍の確認から腹診までの一連のデモが行われ、お互いの実技が行われました。

実技では今までの講習会で学んだ①脈拍の確認②膝周りの指標の確認③腹部接触鍼3回④膝の指標の再確認⑤脈診⑥脈調整の指標の確認⑦脈診⑧脈調整の指標の再確認⑧脈診⑨腹診・積の決定 までを行いました。

次回の講習会は8月27日(日)です。

いよいよ背部の取穴・背部兪穴の使い方に入っていきます。

今までの内容は練習すれば練習した分だけ手際が良くなっていき、上手くなりかつ効果も出せるようになってくると高橋先生は仰っていました。

講習会の時だけではなく、必ずどこかで練習してきましょう。