臨床研修も2年目の後半を迎えると、かなり自信に満ちて治療を進めているように見えます。
臨床研修という、長丁場を耐えて、越えてきた、頼もしい姿が、そこにはあります。
研修生の皆に、自信などと言うと、そんなものはないです。と言われそうですが、研修の初めから治療に取りかかる姿を見ていた私には、その成長ぶりがよくわかるものです。
治療というのは、ともすれば、独りよがりなものになってしまいがちです。沢山の目のなかで、自分を鍛えていくのは、なかなか勇気のいることですが、そういう環境に身を置いてこそ、地力がつくというものです。見る人が見れば、臨床をしているとはいっても、地力のある人と、ない人は、一目瞭然なのです。毎週、自らの力を明らかにされる場で、ごまかしの利かない2年間を過ごした経験は、本物です。治療は、他者との競争では、決してありませんが、何処の誰と比較しても、ひけをとらない、地力が、皆さんには、ついています。信念と自信を持って、進んでください。
ただ、いくら地力がついて、自信がわいたといっても、謙虚な心を失ってしまっては、やがては、ついたと思った自信も、消え失せていくことになります。
私達は、常に意識しなければなりません。それは、治療ができることと、人としての価値が、同じではないことです。
多くの優れた治療家の先生方が、人格も同時に素晴らしいので、イコールであると、思ってしまいがちですが、それとこれとは、別の話しなのです。
長い年月、謙虚に学ぶ姿勢を、お持ちであるから、その光をいつまでも失わないのでしょう。残念ながら、卒業後数年で、光を失いかけているという話を、耳にします。いつまでも学ぶ姿勢を忘れたくないものです。