2023年5月28日に基礎1コース日曜日クラスの第2回が開かれました。
先週に引き続き、2週連続の講義となります。
今日からは基本治療の手順が始まります。
その前に、積聚治療において人の体をどのようにみているかについて説明がありました。
前回の講義の中で、経絡積聚治療として始まった積聚治療は、その後、東洋的な思想を理論背景として、発展したと説明がありましたが、この東洋医学的思想の根幹が「気」という発想になることと説明がありました。
また、積聚治療は「気の概念基づく」治療法で、この世のもの全ては「気」から成るということを大前提とし、それを「見える気」と「見えない気」に分けて考えて、概念的に治療していく治療法である。この点に関しては、気を生理物質として目に見えない物質として定義づけて、これを治療対象とする「気に基づく」治療法とは異なる点であると、他の治療法と比較しながら、この点について丁寧に解説されました。
私も10年以上前に、最初に基礎1クラスを受けた時に、学校で教わった気の概念にはない考え方だったので、かなり戸惑った記憶があります。高橋先生も講義の中で、「何回も何回も、積聚治療の全体像を把握して勉強していくと、だんだんわかってくる考え方なのて、今は理解てきなくていいです。」とおっしゃっていましたが、私も理解できるまで、相当な時間がかかりました。何度か実技の勉強会に出て、易経の講座に参加すると、ふとした時に、『あの時先生が言ってたのは、このことか‼︎』と、ハッとすることがありました。ですから、今回の話が理解できなくても、頭の片隅に入れておくと良いと思います。
講義ではさらに、西洋医学などのように人体をパーツで捉えたり、臓腑や生理物質などのように細かく人体を捉えるのではなく、「気という概念」で人体を一体のものとしてまとめることで、皮膚のような「柔らかい気」、骨のように「硬い気」という概念で表現することができるようになること。また、このような皮膚や骨は「見える気」であるけれど、それらを支えている「見えない気」があり、人体そのものを支えているこの根源的な「見えない気」を生命力と表現することと説明されました。
また、人間の体は、固体、液体、気体などの密度によって分類ができ、さらには、皮毛・血脈・肌肉・筋・骨というものは解剖学的にみれば浅い部位・深い部位、また、動的・静的と分けられ、それぞれが、陽的から陰的なものとして重層的に捉えることができるという人体感について、具体的な例を用いて解説されました。
そしてこのうち、陽的なものは軽い刺激でも変化できるが、より陰的なものはより強い刺激が必要になることから、積聚治療では軽くて、浅い刺激から徐々に深くて強い刺激に移行していく治療手順になっているとの説明がありました。
このように考えれば、基本治療の手順の初めに行われる腹部接触鍼は、腹部の皮膚を接触鍼するという、最も陽的な部分のところの気を調節する方法になると解説されました。
この辺りのお話も、最初は理解するには難しいと感じると思います。基本治療が何も見ずに、すらすらできるようになって、そして臨床を重ねていって、初めて理解できることの一つではないかと感じます。説明の内容が理解できなくても、これも頭の片隅に置いておくと良いと思います。
講義では続いて、具体的に腹部接触鍼を行う範囲、接触鍼の際の押手の構え方、鍼先と押手の示指母指が皮膚に着くタイミング、鍼を皮膚で押す方法、そして患者に鍼先の痛みを感じさせないためにはどうするか、などなど腹部接触鍼を行うにあたって、とても重要な要素が説明されました。
また、この接触鍼を終える目安は指標の変化をみることが大切なこと、指標の変化は生命力の回復を表すので、この指標を的確に捉えることが重要となること、そして人体の中でどのような箇所を指標として用いるか説明されました。
この後、実際の指標の触り方、腹部接触鍼のデモを高橋先生が行い、休憩を挟んで、お互いペアになって、指標の確認、腹部接触鍼の練習が行われました。
前回の委中の刺入の際にも鍼の持ち方、押手と刺手の構え方の説明がありましたが、腹部接触鍼での構え方、接触の仕方が正しくできるか否かで、治療効果に大きく影響が出るように日々の臨床でも感じます。今回参加された方の中には、長く積聚治療の臨床をされている先生もいますが、長い間に自己流の癖がついて、先生から指摘を受けている方もいらっしゃいました。一度習ったから、もうできるようになったから、というのではなく、何度も基礎を復習したり、時にはもう一度講習会に参加してみるといった、学び直しがとても大切だと改めて感じました。
先ほども述べたので繰返しになるかもしれませんが、前半の「気の概念」に基づく治療は、初めて耳にすることも多く、なかなか理解するのも難しいと思います。講義で高橋先生もおっしゃってましたが、毎年講義を受けて、易経の勉強会にも出てようやく理解できる内容でもあるので、今は、そういったことがあるのだということだけは覚えていただければと思います。
また、接触鍼も初めてのことで、患者に痛みを与えずに、押手と鍼を操作して行うことはなかなか難しいと感じると思います。講義中に、「新しく習う技術はまた1からスタートですので、なので、1から練習量を蓄えていくしかないですので、必ずやる。」と、高橋先生がおっしゃってましたが、練習の回数が多ければ多いほど上達していきます。
今回の講義内容も、理解できるまでにはある程度の時間はかかると思います。ですが、練習したり、治療したりすればするほど、理解できるようになるまでの時間が短くなることを私も実感しています。
ですので、本当に「やることの大切さ」をみなさんにも知って欲しいです。
次回の講習会は6月18日です。
それまでに今回の内容をテキストなどで復習し、委中刺入や腹部接触鍼の練習を重ねてください。