ここまで、 基本治療と基礎的な補助治療を順番に学んできましたが、 最後に学ぶのは募穴を使った補助治療です。 基本治療で背部愈穴を4穴を使い、 それでも腹部の積に変化が起こせなかった場合、 さらに手足の要穴を使って補助治療を行いますが、 更にそれでも補いきれない精気の虚がある場合に、 募穴を使った補助治療を行います。
募穴を使った補助治療は、 季肋部下縁の圧痛や虚している部分を探っていき、 巨刺で治療していきますが、テキストには、「 ステンレス鍼や鍼管を用いてもよい」と書かれていますが、現在で は刺入深度と治療効果は比例しないことがわかってるので、 背部愈穴治療のときと同様に、 必ずしも刺入しようとしないで入るに任せるようにします。
こうして、背部愈穴(4穴)、手足の要穴(2穴)、募穴(2穴) の最大計8穴くらいまでが、 ドーゼオーバーを起こさないラインだと先生はおっしゃっていまし た。そして、いつも言われることですが、 このように治療穴が増えたとしても、 トータルの治療時間は常に一定にすることが大原則です。
初診の患者さんを治療するときは、 ついつい主訴の変化を追いかけ過ぎてしまい、 どこまでも治療を続けてしまいそうになりますが、 先生はそこに注意が必要だとおっしゃいました。 患者さんの症状には歴史があり、 その主訴が出現するに至った経緯があるわけですから、 それを1回の治療で全て無くしてしまおうというのは、 大きな変化を強いることになり、 結果的に患者さんの負担につながるというわけです。
ですから、1回の治療時間の中で、 どこまで積や主訴を動かすべきか?ということを考えながら、 治療を行わなければならないということでした。 治療の刺激量は最小にして、最大の効果を得られるようにすべし、 ということですね。そういう意味で、治療時間は常に一定にし、 刺激の総量を制御するように心がけるのです。
さて、これで基礎1で学ぶ内容は全て終了となります。 積聚治療を行う上で、 核となる重要な部分が基礎1には集約されています。初めの頃は、 やっていてもピンとこなくて、 これでいいのかと不安になることもあると思いますが、 先に進むにつれて、色々なことがどんどん繋がっていき、 技術も知識も向上していきます。 受講生のみなさんは是非ともここまでの内容に熟達して、 上のコースに進んで行くことをおすすめします。
この日の夜は、鈴木美由紀先生を囲んで、 北海道で積聚治療に関わる先輩方も交えて、 ワイングラス片手に遅くまで盛り上がりました。(種田)